重い腰を上げ鎌倉の古樹巡りをすることにしました。新春の日曜ということで、鶴岡八幡宮はたいそうな賑わいでした。太鼓橋を渡るビャクシン(イブキ、ヒノキ科ビャクシン属)が迎えてくれます。樹高は低いのですが立派な古樹の雰囲気です。枝葉が鬱蒼として突き出し、険しい雰囲気がなんとも印象的です。冬は葉を落とさない針葉樹が光り輝いて見えます。出かけてきてよかった。 すぐ近くに立派なイヌマキ (マキ科マキ属)が佇んでいました。高さ20メートルにもなる高木です。イヌマキは鎌倉では寺社境内に多く植栽され、古樹、巨木が多く見られます。幹は直立して、乱れた感じになりますが、躍動的な樹形になり、庭園では映えます。 イヌマキは本来、常緑広葉樹林中に生育します。生育地は暖地の森林です。ベトナムでも見かけましたから、相当広い生育域を持っているのでしょう。 材は耐朽性があり、シロアリに強いので、特に沖縄では建築材として珍重されます。「イヌ」の名がついていますが、重要な樹木です。 新春の陽光の中、建長寺は禅寺特有の厳格な気風を漂わせています。三門を抜けると、仏殿に至る参道の両脇に、ビャクシン(イブキ)の古木が七本、整然と並んでいます。 樹高は13メートルでそれほど高くはないが、幹の周りは6.5メートルあり、圧倒的な存在感です。寺伝によれば、開山の蘭渓道隆が宋から持参した種子を植えたといいます。禅の気風は、750年にわたってビャクシンにも受け継がれているように思えます。 荒ぶるような樹形のビャクシンですが、穏やかな冬の光に柔らかく輝いています。ビャクシンの魅力がことさら伝わってくる新春です。 明月院のソシンロウバイ(ロウバイ科ロウバイ属)は早くも満開を迎えています。人気の少ない境内で、新春の風景を独り占めします。 淡い陽光を目一杯反射する花の群れは温かみが感じられ、手をかざしたいほどです。 花にはジャスミンのような高貴な芳香があります。冬でも訪花する昆虫がいるのでしょう。金色に輝き、香りを出して必死で少ない虫を招いています。 ソシンロウバイの花は内側もすべて黄一色ですが、 ロウバイは内側の中心が赤褐色になります。花はソシンロウバイより小さく、花期は少し遅いようです。明月院ではこれから満開時を迎えます。 マンサク(マンサク科マンサク属)も咲いていました。黄色いリボン状の花びらが可愛く、いち早く春の訪れを知らせています。新春のマンサクの花はひときわ鮮やかに見えます。 今回の新春「輝きの道」は円覚寺に連なっていました。建長寺より30年後に創建された円覚寺でもビャクシンは輝きに充ちていました。円覚寺の開祖は無学祖元禅師。室町時代に日本の禅の中心的存在となり、五山文学や室町文化に大きな影響を与えたといいます。静寂な境内にはただただビャクシンが輝きを増しています。 妙香池は氷に覆われていました。ハクセキレイがチョチョコと氷の上を歩いていました。輝きの新春も寒いのです。 境内奥の黄梅院の入り口にはイヌツゲの「巨木」があります。イヌツゲ (モチノキ科モチノキ属)は常緑の低木ですが、このイヌツゲは樹高10メートルもの「巨木」です。直立する枝元はこぶ状になっていて、風格があります。イヌツゲは常緑で、冬でも葉を落とさず、目立ちます。 樹齢200年以上のスギに囲まれた方丈庭園の中央にはモッコク(ツバキ科モッコク属)の巨木が枝葉をおおらかに広げています。モッコクは高さ15メートルにもなりますが、このモッコクは巨木です。樹齢は200年以上たっているといいます。 葉には鋸歯はなく全縁。厚い革質で、表面は滑らかです葉柄は紅紫色を帯びる場合が多い。新春の光を受け止める葉は輝いて見えます。ただし、光合成が活発に行われているのか、よくは分かりません。 モッコクの近くにビャクシンが思いっきり枝葉を広げていました。樹齢700年以上は経過していて、円覚寺では最も樹齢の高いビャクシンです。幹の半分はセメントで補修されていて、痛々しい限りです。幹の中心部まで腐食が進み、倒木を防ぐため処置されました。あと何年生きながらえるか。 枝下に幼木が生えていました。実生のビャクシンで、ここに移植されたそうです。高さ1メートルほどですが、樹齢は5~6年だそうです。上にそびえる樹齢700年以上のビャクシンが命尽きたとき、この幼木が後を繋ぐといいます。 ビャクシンの幼木も新春の陽光を浴びながら光輝いていました。 #
by seppuka
| 2023-12-13 07:56
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